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Educe Club Newsのバックナンバー


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 『Educe Club News』【第13号】ISO29990(「現代版徒弟制度」のすすめ4)
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 このメールマガジンは、教育エンジニアリング研究所及びアイボスのサービス
をご利用いただいたことのある皆様、各社が主催・共催したセミナー等にご参加
いただいた皆様、各社の担当者が名刺交換させていただいた皆様にお送りしてい
ます。
 皆様には、今後も継続的にメールマガジンをお送りさせていただきたいと思い
ますので、ぜひご愛読くださいますようお願い申し上げます。
 メールマガジンの配信停止、配信先のメールアドレスの変更につきましては、
お手数ですが文末のご案内をご覧ください。

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 皆さん、こんにちは。

 本メールマガジンでは、人材育成や教育研修に関するテーマを中心に、人材育
成・教育研修についての最新トピックス、弊社の提唱する「教えない教育」の理
論や実践方法、教育研修の品質(効果)の測定・評価、OJTの活性化等、人材育
成プロフェッショナルの皆様に、役に立つ情報を配信していきます。

 また、将来的には本メールマガジンをメンバー(読者)相互の情報交換の場と
するとともに、いずれはメンバーがFace to Faceで、これからの人材育成や、教
育研修のあり方や方法等について議論し、助言し合い、相互研鑽するコミュニテ
ィ『Educe Club』に成長させたいとも考えています。

 本メールマガジンは、無料で月1回を目処にお届けしていく予定ですので、
末永くお付き合いいただきますよう、よろしくお願いいたします。

                       『Educe Club News』事務局


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 目 次
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  ■ 『Educe Club News』
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 【1】 ISO29990(「現代版徒弟制度」のすすめ4)
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 【2】 思いを持ってことに臨む(仮説を立てる)
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 【1】 ISO29990(「現代版徒弟制度」のすすめ4)
                          アイボス 國谷 裕行
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 みなさん、お久しぶりです。いつの間にか朝夕は吹く風が時に冷たく感じる季
節になりましたが、お変わりありませんか?
 さて、いつもは半分オチャラケ気味の記事ばかり書いて本人も恐縮しているの
ですが、今回はチョイと真面目な、お堅い話をお届けします。
皆さんは「ISO29990」という規格をご存知ですか?「何言ってやがんでぃ!こち
とらこの世界で飯食わせてもらってんだい。見くびって貰っちゃあ困るぜ!!」
ってな声が各方面から聞こえてきそうですが、同規格はまだ国内での歴史が浅い
こともあり、一般には広く認知されてはいないのが現状と思います。
 つい先日、本規格に関わるセミナーを受講して多くの共感を得たこともあって、
熱の冷めぬうちに「ISO29990」の概要についてご紹介したいと思います。尚、今
回は概要のさわり程度の話になりますが、中身に関しては何度かに分けてこのメ
ルマガでもお伝えしていきたいと思っています。また、本メルマガ配信先に同規
格の審査及び普及の関係者がいらっしゃいますので、内容に誤解や嘘があればご
指摘くださいね!
 
<規格の名称・目的>

 「ISO29990」の正式名称(邦訳)は「非公式教育・訓練における学習サービス
-サービス事業者向基本的要求事項」と言います。長い名称ですが、要するに学
校教育法が指定するもの以外の学習サービス事業者(提供者)向の要求事項(規
格)ということです。
そして、その目的とするところは、原文(邦訳)を引用、抜粋すると以下の通り
となります。

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 本国際規格は、非公式教育・訓練・人材育成の企画、開発、提供に関し、
 学習サービス事業者と顧客に対して、質の高い専門的な業務及びパフォー
 マンスのための汎用モデル及び共通の枠組みを提供することを目的として
 いる。
 本国際規格は、学習サービスを利用しようとする組織及び個人が、コンピ
 テンシー・能力開発に対するニーズや期待に対応できる学習サービス事業者を
 選択できるように支援することもその目的としており、また、学習サービス
 事業者の認証に利用可能である。
 ----------------------------------

 一般的には、質の高い学習サービスを継続して提供する事業者を認定する規格
と単純に理解しがちですが、背景では学習者が期待する学習サービス事業者を選
択する際の見方や指針の提供(=支援)というところにその意義を求めているの
ですね。本来学習の主体である学習者の視点で教育サービスの品質の見える化を
図ろうというねらいが、我々自身の活動目的、ひいてはこの「Educe Club」の目
的とぴったり重なり、深く共感するところです。

<学習(教育)サービスに関する国際標準と国内標準>

 こうした学習サービス或いはその品質に関する標準・規格は、残念ながら日本
にはこれまで存在しませんでした。形のないサービスはなかなか実態を捉えにく
く、標準類の整備が進みにくいのも無理もないところかもしれません。では、欧
米を中心とした海外でも同様な状況なのでしょうか?
 下記URLの表は「一般社団法人 人材育成と教育サービス協議会(JAMOTE)」に
よる調査資料ですが、悔しいかな特に欧米では既に国内標準が整備され、韓国や
中国においても既に標準化に向けての作業が進んでいるようです。

 http://www.iboss.co.jp/merumaga/images/ec_mm201210_jamote.png

 日本国内においてサービスに関する規格・標準の整備が進まないのは、上記の
理由に加えて中央官庁の縦割り行政が邪魔をしているのかもしれません。

<ISO29990の発行を受けた省庁の動き>

 ご存知の通りISOはスイスの法人格を持つ非政府組織で、発行される規格は各
国政府から強制力をもって施行、実施されるものではありません。しかしながら
WTO/WTB協定は、各国に対し強制規格や適合性評価手続きの作成の際及び政府調
達協定に、原則として国際規格(ISO/IEC等)を基礎とすることを義務付けてい
ます。
近年、日本でも厚生労働省が、委託訓練や求職者支援制度における訓練の実施機
関として民間教育訓練機関を活用する場合の質の保証・向上のツールとして、
ISO29990に則ったガイドラインを策定し運用しています。また、文部科学省では
“文部科学白書2010”において、「学習サービスの質の向上に向けた国際標準化
民間団体の取組み~ISO29990の発行~」としてコラムの記述を載せています。更
には先頃公表された「日本再生戦略」(7月31日閣議決定)の中では、「我が国
経済社会を支える人材の育成~人材育成戦略~」として民間教育サービスの発展
が謳われており、ISO29990の活用が戦略として折り込まれました。(所管官庁:
経済産業省)
 このように、日本でも教育サービスの質的向上、更には効果的な人材育成の促
進のために、学習サービス提供者に対してISO29990に則った経営或いはサービス
提供を求める空気が高まってきました。

<「基本的要求事項」の構成>

 さて、いよいよISO29990の中身の話ですが…あれっ、もう紙面がない! 残念!
(作戦通り)ということで、詳しくは次回以降何回かに分けてお話させていただ
きますが、大まかに言うと中身は4章にカテゴライズされており、第1章は「適合
範囲」としていわば頭書き、第2章が「用語及び定義」、第3章以降が本文で、第
3章は「学習サービス」と題して学習サービスの品質担保に関する要求事項が、
第4章には「学習サービス事業者のマネジメント」と言うタイトルで教育事業者
の経営・管理に関する要求事項が謳われています。
特にマネジメントに対する要求事項については、性格上ISO9001とかなり近い構
成になっているように思われます。

 さて、規格の中身の話は次回以降にするとして、何はともあれこうした学習サ
ービスの質に関する標準が国際規格として国内でも普及されることは、学習者に
とっては勿論のこと、サービスの質について議論する或いは評価を受ける公式な
「ものさし」ができたという点で、我々教育事業者にとって、更には業界の発展
にとっても非常に好ましいことと考えます。
また、昨今要求の高い「グローバル化」の視点でも、「グローバル人材の育成」
のみならず、「グローバル人材を育成する仕組みのグローバル化」(学習サービ
スのグローバル化)に関して、我々に大きな可能性を与えてくれるものではない
かと思います。
色々な面で(我々にとっても)利用価値の高い国際規格といえるでしょう。

 嗚呼、えらく尻切れトンボの内容でしたが、次回に乞うご期待!! です。

【参考】
・一般社団法人 人材育成と教育サービス協議会(JAMOTE)
 http://www.jamote.jp/

・平成22年度 文部科学白書
 http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpab201001/1311678.htm

・日本再生戦略
 http://www.npu.go.jp/saisei/index.html


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 【2】 思いを持ってことに臨む(仮説を立てる)
                 教育エンジニアリング研究所 澤田 大輔
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 もう15、6年前になりますが、南米のペルーへ観光に行ったことがあります。
ナスカの地上絵やクスコの街、マチュピチュの遺跡、チチカカ湖と回ってきまし
た。ナスカの地上絵の壮大さ不思議さ、クスコのコロニアルな町並み、マチュピ
チュの遺跡の巧みさ美しさ、チチカカ湖の湖上生活の面白さに感動したことは、
今でも鮮明に思い出すことができます。
 旅行の後に、日本に戻ってきて感じたことは、訪れる場所やインカ文明につい
て、しっかりと調べてから、行けば良かったということでした。ただ、ただ、行
ってみたい、見てみたい、という想いだけでペルーに向かったのでした。
 感動したということでは、良い経験だったと思っているのですが、この感動を
取り除いてしまうと、とても大きな絵、大きな石組み、古い街、大きな湖を見て
きたという…それだけで、それ以上の深みには至らなかったのです。それで、全
く何も調べずに行ったことが悔やまれたのでした。もっとはっきりとした思いを
持って、それにそって下調べなりをして旅行にでれば、また、現地では旅行記で
もつけ、かつ振り返りもちゃんとすれば、もっと豊かな経験となったのではない
かと。

なぜこんなことを思い出したのか…。

 経験ということを考えていました。「経験をすれば、そこから何かしら得るも
のがある」、なので、幾つもの経験をすれば、一つ一つの経験から得られたもの
が自分の中に自然と積み上がっていくはずであると。そうであるならば、例えば
仕事でも多くの経験をすれば、それぞれから得られたものが積み上がって、仕事
の能力(仕事をする力)も上がってくるはずだと。
 しかしながら、残念なことに、経験をするだけでは、何も積みあがってはこな
いようです。ただ経験をすれば、「何かが得られる」、「何かがより深まる」と
いうことでは無いようです。
 経験は物事を見たり、聞いたり、実際にやったりすることであって、「何かを
得る」、「何かを深める」とは、別のことであるようです。そのため、「何かを
得る」、「何かを深める」ためには、(…経験+α)が必要になります。

 この(+α)は、経験それ自体の前後で何をするかを表していることになりま
す。すなわち、「仮説と検証」ですね。
 旅行に話を戻しますと、「仮説」は「はっきりした思い・下調べ」に、「検証」
は「旅行記・振り返り」に相当します。
 振り返り(省察・概念化)の大切さは「経験学習モデル」(コルブ:1984年)
でも提唱されていますので、ここでは事前の「思い」(仮説…PDCAサイクルでい
えば「P」ですね)について述べようとしています。

 経験に向けてのはっきりとした思い(なんでこの経験をするのか)…この「思
い」が無ければ、経験に対しての軸(判断基準)が無く、経験したことが良かっ
たのか、悪かったのかということも判別することができません。「何が得られた
のか」、「何が深まったのか」もわからないことになってしまいます。さらに、
そういった判別以前に、「思い」を持って経験をしなければ、経験はただただ過
ぎ去ってしまうものとなり、内容を思い出すことさえできない状態になってしま
います。
 自分の「思い」がなく、経験をするだけでは、「何かを得たり」、「何かを深
めたり」することができません。多くの経験をしているのに、自分の中に何も積
み上がっていないとしたら…。それは、自身が「思い」を持って行動していなか
ったことの証となっているのです。

 「『何か』はやっていたけれど、何を一番学んだのかと問われると、答えら
  れないです。今日は○○を学ぶぞ!!という目標設定をしなかったことが
  原因か?せっかくの研修を1日分ムダにしてしまった気分です。」

 これは、研修中に学習者へ毎日とっているアンケートのある日のコメントです。
研修途中でこういったコメントが学習者から上がってくれば、ムフフと微笑んで
しまいます。経験に対しての学習者自身の気付きを見ることができるからです。
 研修中、ありとあらゆる場面で「仮説と検証」の大切さは伝えているつもりで
すが、ただ単に「仮説と検証の重要性がわかりました」というアンケートコメン
トですと、講師の言葉の「オウム返し」に過ぎない可能性が高いですね。
 前述のコメントは、明らかに学習者自身の言葉になっていますので、学習者の
今後のことを考えると、講師としてはかなり嬉しい気分になってしまうのです。


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 【『Educe Club News』バックナンバー】
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Webサイトでご覧いただけます。
 http://www.iboss.co.jp/merumaga/

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