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Educe Club Newsのバックナンバー


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 『Educe Club News』【第10号】記憶に残る教師
                            発行:2012.7.26
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 このメールマガジンは、教育エンジニアリング研究所及びアイボスのサービス
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 皆様には、今後も継続的にメールマガジンをお送りさせていただきたいと思い
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 皆さん、こんにちは。

 本メールマガジンでは、人材育成や教育研修に関するテーマを中心に、人材育
成・教育研修についての最新トピックス、弊社の提唱する「教えない教育」の理
論や実践方法、教育研修の品質(効果)の測定・評価、OJTの活性化等、人材育
成プロフェッショナルの皆様に、役に立つ情報を配信していきます。

 また、将来的には本メールマガジンをメンバー(読者)相互の情報交換の場と
するとともに、いずれはメンバーがFace to Faceで、これからの人材育成や、教
育研修のあり方や方法等について議論し、助言し合い、相互研鑽するコミュニテ
ィ『Educe Club』に成長させたいとも考えています。

 本メールマガジンは、無料で月1回を目処にお届けしていく予定ですので、
末永くお付き合いいただきますよう、よろしくお願いいたします。

                       『Educe Club News』事務局


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 目 次
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  ■ 『Educe Club News』
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 【1】 記憶に残る教師
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 【2】 ソフトウェア品質向上の特効薬
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 【1】 記憶に残る教師
                  教育エンジニアリング研究所 尾関 昇
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 今年から小学一年生になった甥を見ながら、私の母親は「ちっちゃい時のアン
タそっくりね。」と私に言います。プールが嫌いな甥は、カーテンの隙間から青
空を見上げては「はぁ・・」と可愛らしい溜息をついています。

 甥と同じ年頃、私もプールが嫌いでした。当時は水に顔をつけるのが怖く、当
然ながら、泳ぐなんて出来る訳がありません。小学二年生の私は朝起きると天気
を確認し、晴れていれば甥と同じように溜息を漏らしていました。特にタイムを
計測するときの授業は憂鬱になりました。泳げない恥ずかしさと水への怖さもあ
り、何も出来ずに立ち尽くしていた記憶しかありません。そんな情けない状態で
したが、ある日を境に恐怖心が少なくなりました。
 その日もいつものように、プールの中で立ち尽くしている私を当時の担任がプ
ールサイドに呼び寄せました。すると、何も言わずに突然私を抱きかかえたかと
思うと、プールに向かって力一杯に放り投げたのです。何が起こったのかもわか
らず、いくらか水も飲み込み、気付けば溺れる事無くプールから這い上がってい
ました。どう泳いだのかも覚えていません。きっと泳いでないと思います。3、
4年生向けの“中”プールだったので、立てば腰上程度の水深です。驚いている
私を見て担任はにっこりと微笑み、「もう一回いくよ!」と間髪入れずに放り投
げます。必死で這い上がるも再び放り込まれる・・・。周囲で見ていた同級生も、
何か面白いことが始まったぞ!というように我先にと同じように自分から飛び込
んでいます。気付けば“飛び込み大会”のような状況になり、その内に私も自分
から飛び込むようになっていました。

 今の時代では考えられないことかもしれません。ショック療法に近い方法です。
下手をすれば溺れてトラウマになる可能性だってあります。プールへの飛び込み
にしても、今では禁止されているでしょうし、プールサイドで滑って転んで怪我
でもしたらどうするんだ!という声も聞こえてきそうです。
 しかし、結果的に私は水に対する恐怖を克服することが出来たのです。今でも
この担任教師の名前は覚えていますし、この時の情景を鮮烈に覚えています。そ
れだけではなく、褒められて嬉しかった出来事や、うっかりして担任を「お母さ
ん」と呼んでしまってクラスの全員から笑われたこと、こっぴどく叱られたこと
も覚えています。この学年以外の担任は名前はおろか、顔でさえ曖昧なのに。

 まさか自分が人を育てることに関わる職種に就くとは思っていませんでしたの
で、単に印象深い思い出として記憶していましたが、改めて担任教師のことを思
い出すと素晴らしい先生だったと思います。もしかしたら、私を放り投げる時は
相当の覚悟をされていたのかもしれません。溺れる可能性も、二度と学校に来な
くなる可能性も、保護者からクレームだって来る可能性があります。ありとあら
ゆることを考えた上で、あの手段を選択したのかもしれません。いや、時代が違
うから出来たんだよという意見もあるでしょう。それでも生徒に対する愛情や真
剣さ、しっかりと叱るところなど他の先生と明確に違っていたと感じます。

 「坂の上の雲」の中で次のような言葉が出てきます。

 「教育者には透き通った乱暴さが必要だ。」

 この時の先生だけではなく、私の記憶に残っている教師には、この言葉のよう
な乱暴さを持っていたと思います。

 ゆとり世代と呼ばれている新入社員の中でそんな教育者に出会った方は果たし
ているのでしょうか。研修中にそんなことを考えるときがあります。もしかした
ら、今まで一度も叱られたことのない人も・・・。知識を伝授するだけでなく、人
として真っ向勝負していく講師や研修が求められる時代が来ているのかもしれま
せん。学校教育と研修では違いは多々ありますが、教育者に求められる資質は変
わらないと思います。私自身、少なくとも記憶に残る講師、研修になるように精
進せねばと思います。


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 【2】 ソフトウェア品質向上の特効薬
                 教育エンジニアリング研究所 幸村 英志
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 私は、前職にて長い間ソフトウェアの品質保証関係に関する仕事に従事してい
ました。最近の仕事の中でその経験をお話しすると「ソフトウェア品質を良くす
るための特効薬はありませんか?」とよく尋ねられます。
 その質問の背景についてお聞きしてみると、決まって「先日、大きな事故を起
こしまして…」という答えが返ってきます。
 あまり大きな声では言えませんが、私も前職では年中事故対応(影響度の大小
はありますが)をやっていたと思います。その時は、いつもソフトウェアの品質
で頭を抱えており、ソフトウェアの品質向上は喫緊の課題だと感じていました。
 そこで、今回は私が思う「ソフトウェア品質向上の特効薬」について書いてみ
ます。

▼ソフトウェア品質向上の特効薬はあるか?

 結論から申し上げると、残念ながら「ありません」としか言えません。
ここで取り上げている特効薬とは「これをやれば、劇的に品質が上がる即効性の
ある施策」という意味のもので、そんないい特効薬があれば私もすぐに使ってみ
たいものです。
 ソフトウェアの品質は「人・もの・金」が複雑に絡み合っており、現状ではど
んなソフトウェア製品にも一律的に即効性のある特効薬は無いと考えています。
しかし、特効薬は無くても、漢方薬としての処方箋はあると思います。

▼ソフトウェアのもう一つの特質

 その漢方薬は何か?を書く前にソフトウェアの特質について考えてみます。
 一般的に、ソフトウェアの特質として良く語られることは、ソフトウェアは
「目に見えない」ものなので、その対策として「見える化を行え」と良く言われ
ています。
 私は、その他にもう一つの重要な特質があると思います。
 それは、ソフトウェアは「いかにようにでも作れる」ということです。

 生産ラインにて製品を作っている方であれば、製品を作るには生産プロセスが
必須で、それをどのような工程にするか常に考え、見直しを行っているはずです。
現在の多品種少量生産の時代では、生産プロセスは「流れライン」ではなく、
「セル生産」等のような方向に移っていると思います。
 つまり、ハードウェアで構成される製品を作るためには、必ず生産プロセスが
あり、これを無視して作ることは絶対出来ません。例えば、家を建てる場合には、
「基礎」「柱」「屋根」「外装」「内装」といった順序で作るしかありません。
 しかし、ソフトウェアではこの順序を無視して、いきなり「内装」から作るこ
とが可能で、設計もせずに、いきなりをコーディングしてソフトウェアを作れて
しまいます。そして悪いことに、「それなりに動くもの」が作れてしまうことで
す。勿論、そのように作られたソフトウェアの品質は、作った人の能力に大きく
依存し、必ず動くものではありませんが…。
 このように作り方を決めないで作ってしまっても(決めた作り方に従わない場
合も含みます)、納期間際の徹夜の連続で「最後の力業」で何とかなってしまう、
もしくは何とかしてしまうことが多いため、「作り方」を決める必要性を本当の
意味で実感出来ている人は少ないようです。
 この作り方は「作る人の能力」に大きく依存しており、良いものが出来るかど
うかは「神のみぞ知る」というような、ある意味で博打的な生産形態です。

 しかし、情報化社会の時代、最先端の産物であるソフトウェアの生産形態が、
未だにこのような家内制手工業的な状況から脱し切れていないのは、皮肉という
より、むしろ滑稽にすら思えて仕方ありません。
 やはり、それを脱却するためには、「開発プロセス」を定義し、かつ遵守する
必要があります。これが私の考えるソフトウェア品質向上の漢方薬です。

▼ソフトウェア品質向上の漢方薬

 私が考える漢方薬は「開発プロセス」ですが、しかし、この開発プロセスは即
効性に乏しいのが実情です。そういった意味で特効薬ではなく、漢方薬と表現し
ています。
 ここで、もう一つ注意すべき点は「開発プロセスは生もの」であるということ
です。開発プロセスは、すぐに陳腐化もしくは役所的義務化に陥ってしまい、品
質や生産性を高めるためのプロセスではなく、下手をするとただ守るだけのプロ
セスとなってしまいます。
 それを防止するためには「プロセスの理解」です。何のために、どのような理
由で、そのようなプロセスにしたか、開発者全員が正しく理解することです。

 もしかして、「とにかくプロセスを遵守しろ!!」となっていませんか?

 標準の開発プロセスというものは、会社内にある色々な製品のことを考慮する
ためにどうしても冗長的なプロセスになりがちで、今自分が作ろうとしているソ
フトウェア製品の特徴によっては、このプロセスを少しずつ変更する必要があり
ます。通常、これは「テーラリング」という言葉で表されており、プロジェクト
発足時には、この「テーラリング」が必ず必要であることを認識しておく必要が
あります。

 このように、ソフトウェア品質を向上させるためにまず必要なことは、「開発
プロセスが定義されていない所は早急に制定する」、「定義されていてもなかな
か実効性が上がらない所はその運用を改善する」ことです。

 さぁ、これからも「神様を頼りに」的なソフトウェア製品を作り続けますか?


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